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2008_migaro_techreport_001   92 / 136

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90 吉原 泰介 株式会社ミガロ RAD事業部 技術支援課 フォーム継承による効率向上開発手法 フォーム継承は 開発効率やメンテナンス性をよくするためのプログラム側の手法である。 それによって、アプリケーションの動作がよくなるわけではない。 フォーム継承をどのように行えば効率のいい開発を行えるのか、 それを考察する。 ●開発効率、メンテナンス性がよい開発手法 ●フォーム継承のポイント ●アプリケーション内の継承構成 ●フォーム継承によるメリット 略歴 1978 年3 月26 日 生 2001 年龍谷大学法学部卒 2005 年7 月株式会社ミガロ入社 2005 年7 月システム事業部配属 2007 年4 月RAD 事業部配属 現在の仕事内容 Delphi/400 やJACi400 の製品試 験、および月100 件にのぼる問い 合わせのサポートやセミナー講師な どを担当している。 1 開発効率、メンテナン ス性がよい開発手法  システム構築から運用までを行う場 合、開発者はプロジェクトに費やす工数 において、以下の2 点を考慮する必要が ある。 ●開発効率   どれだけ工数をかけずに、開発ができ るか ●メンテナンス性   どれだけ工数をかけずに、変更や修正 が容易にできるか  では、プログラムの開発手法にはどう いった形があるだろうか。  1 つの画面の単純なアプリケーション を作成するとき、ほとんどの開発者は1 つのフォームにプログラムを組み込んで アプリケーションを作成する。これを「開 発手法A」とする。  それに対して、1 度作成した画面を流 用して開発できるように、フォーム継承 を行ってアプリケーションを作成するや り方を「開発手法B」とする。 【開発方法】 A: プログラムが全て1 つのフォームの 中に集約されたもの B: プログラムがフォーム継承を行って 作成されたもの  この2 つの手法でそれぞれ開発をした 場合、どういった違いがあるのかを考察 してみよう。 【照会プログラムを1 画面開発した場合】 ●開発効率 A: 継承を考慮しないで単純に開発でき るので、開発工数がかからない。 B: 継承を考えながら開発するぶん、A より開発工数がかかる。 ●メンテナンス性 A: メンテナンス対象は1 つのフォーム だけなので、変更が容易。 B: 継承を考慮しての変更となるため、 A よりスキルが必要。  ここで重要なのが、A とB の手法で 作成された2 つのアプリケーションに、 動作上の違いはないということである。 フォーム継承は、開発効率やメンテナン ス性をよくするためのプログラム側の手 法であり、それによってアプリケーショ ンの動作がよくなるわけではない。  また、この結果を見ると、フォーム継 承を行わないほうが優れているようによ うに見える。  では、次のケースはどうだろうか。 【同じような照会プログラムを10 画面開 発した場合】 ●開発効率 A: 単純に1 画面× 10 の開発工数がか かる。 B: フォームが継承された部分は再利用 できるため、各画面の固有部分だけ の開発工数で済む。【図1】 ●メンテナンス性 A: 共通の変更が発生すると、10 画面 全てに同じ対応を行う必要がある。 B: 共通の変更が発生しても、継承元