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2009_migaro_techreport_001   8 / 80

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6 Java での開発、HTML の修正など、多 くの工程を踏まなければならなかった。 【図3】  ところがJACi400 では、HTML の修 正、JACi400 Designer で画面属性を定 義、そして画面に表示するプログラムロ ジック部分をRPG で開発するだけで、 同等の機能が実現可能であった。【図2】  既存の5250 画面をWeb 化する優れ た製品は数多くあると思う。だが、今回 はベースとなるHTML やデータベース は完成しており、既存のWeb サービス の再構築、および前述のWeb 開発ツー ルの導入の条件を踏まえると、他の製品 より優位性があると考え、JACi400 の 導入を決定した。 問題点と解決手法  今回、実際の開発はミガロ.が中心と なり、筆者もいくつかの画面や機能を追 加した。そこで発生した問題とその解決 手法は、JACi400 で開発する際の参考 になると思われるので、簡単に記したい。 ●ファイルのダウンロード機能・メール 送信機能の実装.Delphi/400 とVBReport との連動で実現.  JACi400 には、ファイルのダウンロー ド機能が存在しない。このため、今回は JACi400 でファイルの元データまで作 成。ファイルの作成.配布の処理につい ては、Delphi/400 とVB-Report を利用 し実現した。(※ 1) ● IBM i へのログオンの問題.オート ログオン機能を使用し、デフォルトのロ グオン画面をキックする手法を採用.  JACi400 は、定型のIBM i へのログ オン画面とメニュー画面を使用しなけれ ばならない。  このログオン画面は、IBM i ログオ ン時のユーザープロファイルを特定する ための機能である。しかし、今回は、当 社が独自に作った顧客判別用のログイン 画面とメニューを利用したかったため、 この機能は省きたかった。  そこで「J-line」起動時に、ログオン 画面とメニュー画面を裏で起動。ユー ザープロファイルにJavaScript 内で固 定の値を入力し、自動でIBM i にログ オン後、こちらが用意した独自のログイ ン画面を呼び出すというやり方で、この 問題を回避した。(※ 2) ●ログイン履歴管理の問題.ジョブ番号 とIP アドレスをお客様コードと関連づ けDB に保管し、お客様のログイン状況 の監視を実現.  JACi400 は、HTML 上にフィールド を追加・変更した場合に、必ずWeb Application Server(WAS)の再起動 が求められる。このため、リリース時に はログイン状況を把握することが不可欠 であった。  JACi400 ではログオン後、IBM i の ジョブ番号がブラウザのウィンドウに表 示される。この機能を利用し、顧客がロ グインを試みた際やログアウトの際に、 ジョブ番号、IP アドレス、お客様コード、 パスワード、時刻などの情報をデータ ベースに作成することで、ログイン状況 の把握を実現した。【図4】 ●パフォーマンスの改善.WF の作成 タイミングを分割し改善.  IBM i とWAS 間の通信量が増える と、そのぶんどうしてもパフォーマンス が悪くなった。特に一覧画面はデータ量 が格段に増えるため、上記問題が顕著と なった。  今回の画面遷移は[メニュー画面]→ [検索画面]→[一覧画面]→[照会画面] となっている。そこで検索画面に遷移時 に、一覧画面の元ファイルを作成。さら に一覧の表示件数の初期値を20 件にす ることで、表示負荷を軽減させた。 ●ブラウザのツールバーが表示されない 問題.プルダウンメニューや[戻る]ボ タンを画面に配置し改善.  ブラウザの[戻る]機能を、IBM i に持たせることはとても難しい。そのた め、今回はCALL された上位画面に遷 移するという機能を[戻る]ボタンに実 装させた。ただ、これでは厳密な意味で [戻る]にはなっていないため、今後の 課題となった。 ※ 1 「 i Magazine 11 号」では、ダウンロード機 能が秋頃サポート予定との記述があった。 ※ 2  実は、開発中にJACi400 のバージョンアッ プがあり、この処理が可能となった。 新「J-line」稼働後の効果  新「J-line」に関する顧客の利用件数 については、まだ以前との差はさほどな い。だが、画面の追加や機能修正は随時 行っており、自社開発・保守の実現の部 分において、着実に成果をあげている。  また日次で行っていた、DB2/400 側 からDB2 UDB 側にFTP 転送する処理 がなくなった。直接IBM i とデータと やりとりをすることになったため、3 時 間程度、処理時間が短縮されたことも成 果といえる。 JACi400 の評価と 「J-line」の今後  JACi400 は、Web サービスの新規開 発においてはすでに述べた通り、非常に 便利なツールである。今回、足りない機 能はDelphi/400 に頼った感は否めない が、通常のWeb サービスの開発には何 ら支障はない。  また、社内システムのWeb 化におい ても、既存の5250 画面の制約にしばら れない画面作りが可能。既存のプログラ ムと共通するロジックをモジュール化す ることで、資源の一元化や保守にかかる 工数の削減も見込める。  今後当社は、今回再構築した「J-line」 に所有車や他社リース車の管理機能の追 加、車両運行管理システムの追加、デー タのダウンロード機能強化などを予定。 また営業支援システムなど、社内システ ムのWeb 化も計画している。 M