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18  そんなユーザーサイドを動かすには、 仕事を管理されている感をできるだけ感 じさせないことが肝要だ。 「システム化するとこんなにも便利に なる」ということを前面に押し出しての、 受発注管理システムの導入アピールを開 始した。 (2)事務作業の効率化  現在のExcel 作業や5250 画面での入 力等からの変更によって、以前より負荷 がかかってはいけない。当然、Delphi/ 400 の新システムは使い勝手の悪いもの であってはいけない。  現在の煩雑な入力を簡易にするべく、 Delphi/400 の機能を生かしたアプリケー ションを開発する必要があった。作業の 効率化という面から次の工夫をしている。 @入出力操作の簡素化(容易性) A既存システムとの連携 【改善ポイント:見積書からのデータ入力】  アプリケーション開発における独創 性・創意工夫について、詳細を述べる。  まず、営業担当者が使用していた見積 書を統一した。見積書はExcelフォーマッ トに統一されており、新しい受発注管理 システムには、事務作業者がその見積書 をそのまま取り込める方式を採用した。  入力フォーマットをExcel にするこ とで、営業担当者は、今までと同様の作 業で受発注処理が行える。また、事務作 業者は、対象のExcel データを受発注 システムのデータに再利用できるので、 入力時間の削減、入力ミスの削減を実現 できる。【図2-1】【図2-2】 (3)鉄鋼EDI による データ送受信  鉄鋼業界には、メーカーとの取引を統 一されたデータ規格でやり取りする「鉄 鋼EDI(Electronic Data Interchan ge)」がある。  規定フォーマットでデータのやり取り をするのであるが、EDI のフォーマット に変換するソフトは現況、PC 上動作す るものばかりであった。また、データの やり取りを行う際、当社には当時、IBM i の全銀手順しかない状態であった。  当社の受発注業務は、FAX や電話等 でのやり取りが中心であったが、取引先 の電炉メーカーからの要望によりEDI 経由で発注する必要が出てきた。  実際にEDI の発注処理を動作させる と、以下の流れとなる。 @ IBM i(ジョブスケジュール):EDI 用のデータを作成 A PC(タスク):FTP でのGET 処理 B PC(タスク):EDI のフォーマット変換 C PC(タスク):FTP でのPUT 処理 D IBM i(ジョブスケジュール):全銀 手順での送信  現在のシステム環境下では、@.Dの プロセスは、ジョブスケジュールやタス ク任せの連携のない動きとなり、トラブ ル時の解決をスムーズに行えない。また、 臨時に手動で対応する場合には、非常に 不便である。 上記内容を一連で行えるサーバー起動 のソフトがあるが、価格が高価である。  Delphi/400 を使えば、上記の問題は 解決できる。  Delphi のアプリケーションを主体に 動作させることにより、上記の流れを一 連で動作させることを実現した。  発注処理以外にも出荷請求、PC の時 刻を監視させたDelphi アプリケーショ ンを常駐させ、定時刻になると、Delphi から発注の送信や出荷請求の取得を一連 で行うようにした。  データ変換については、変換ソフトの DLL をDelphi のアプリケーションから Callすることによって実現している。【図3】 エンドユーザー評価 【プラス評価】 ●事務作業の時間短縮とミス削減  これまで、会議資料等を定期的に作成 するためには、印刷帳票や個人のExcel データをベースにするしかなく多大な時 間を費やしていた。今回のシステムの導 入により、時間をかけることなく、最新 に近い業務データにもとづく会議資料の 作成が可能となった。  機能的には、特に、Excel データで出 力できるという利便性が評価されてい る。また、手作業時に比べ集計ミスも減 少した。  今後は、Excel 連携がこのように簡単 にできるのなら、現在、5250 画面で管 理しているリストについても画面照会や リスト出力ではなく、Excel データに出 力し、業務データの加工を自分で行いた いという要望が多数あった。 ● アプリケーションの操作性と表現力 の向上  新アプリケーションでは、マウスによ る直感的な操作が可能になった。若い世 代に好評である。  また、従来の5250 画面では不可能な、 柔軟な表現が可能になり、非常に好評で ある。例えば、項目数の多いサブファイ ル(3 行で1 列)が単行で表示できる等 である。【図4-1】【図4-2】 【マイナス評価】 ●画面表示のパフォーマンス劣化  遠隔地(東京、福岡など)から、従来 より画面表示のスピードが遅いというク レームが入った。今後、PC 自体の性能 アップやネットワーク回線の改善などで 対応の予定である。 ● クライアントPC へのアプリケーショ ン配布(システム部門)  従来はIBM i 上にアプリケーション をコンパイルするだけでOK だったが、 今回よりクライアントPC へのアプリ ケーションの配布の手間が発生した。自 動配布もしくは自動取り込みが今後の課 題となっている。 今後の展望 Delphi/400 は、AS/400 のレガシーシ ステム全般をGUI 化していく目的で導入 した。今後は、照会画面および帳票を中 心にDelphi/400の開発を行っていきたい。 照会画面は、使用頻度の高いものから優 先的にGUI 化していく予定である。また、 帳票については、専用帳票以外は、 Delphi/400 を利用してExcel 形式でエン ドユーザーに提供し、情報活用はエンド ユーザーに自由に行ってもらうことを基本 方針として、開発する予定となっている。 運用面では、モジュールのクライアン トPC 配布の仕組みを改善していきたい。 プログラミングについては、当初不慣れ な面はあったが、今後開発を進めていく 中で、生産性を向上できると考えている。 M