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Migaro.Technical Award 2010 最優秀賞 建物のクレーム情報管理システム 「アフターサービスDB」について 大橋 良之 様 東レ建設株式会社 技術部技術室 課長 東レ建設株式会社 http://www.toray-tcc.co.jp/ ファッションから宇宙開発まで、高 いテクノロジーで暮らしを支える東 レグループの中の建設会社である。 総合建設事業(ゼネコン)と総合不 動産開発事業(デベロッパー)を併 せ持つ数少ない企業でもある。 開発背景  従来の建物のクレーム対応は、受付部 署でシステムへの登録を行ってはいた が、この既存システムの対象は重大なク レームだけですべてのクレーム管理はで きていなかった。  そのシステムについては利用すること 自体の負担が大きく、日常の業務とは完 全に独立しているうえ、建物の施工デー タなど詳細を調べないと入力ができず、 利用者からは時間と労力がかかり非常に 使いづらいという声があがり、徐々に活 用頻度も減っていた。  蓄積されたデータは手集計を行い、分 析後、結果を現場にフィードバックをし ていたが、不定期かつ部分的なもので あったので、的確にすべてのクレームに 対応できていないなどの問題点があった。  その他にも下記(@.D)のような問 題点があったため、「アフターサービス DB」という新たにシステム名を付けてそ れらの問題解決や業務改善を検討した。 @ お客様のクレーム内容と、対応の経 過が共有化されていないため担当者 にしか分からない。 A 重大なクレームが発生した場合、関 係者による対策会議を行う必要があ るが、その通知や招集がリアルタイ ムで行えていない。 B 日常業務の忙しさの中で、クレーム をまとめる管理資料の作成が後回し となっている。 C クレームに対する会社の対応が、一 部の関係者にしか伝わっていない ケースがあった。 D 半年ごとに作成する報告書は、クレー ムの集計と分析をすべて手作業で 行っていたため、作成の負担が大きい。 アフターサービスDB の主な特徴 @ Delphi/400 を使用して「アフターサー ビスDB」としてシステム化したこと により、クレーム発生時の受付から、 担当者が行った対応履歴やクレーム 箇所の写真を貼り付けることが可能 となり、1 つのクレームを病院のカル テに例えた「建物カルテ」という概 念で管理が可能となった。 「建物カルテ」では1 件のクレームご とに作成され、クレームの対応の履歴 や担当者名など内容の把握に必要な項 目が網羅されていて、必要なデータを 既存システムから引っ張ってくるシス テムである。 A 担当者の日常業務に直結したシステム であるため、業務効率を大幅に向上さ せ利用者の負担を軽減させる自動化 が使用頻度を上げることとなった。 B クレーム担当者がお客様へクレーム対 応するのに必要な建物・施工情報や類 似クレーム内容を簡単に入手参照がで きる。 C 重大なクレームについては、クレー ム担当者の上長である各地域の担当 事業部長がリアルタイムに内容を確