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migaro_tech2012   64 / 100

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62 Apple のマーケット公開の審査も厳し いため、いろいろと準備が必要になって くる。  その点、Web アプリケーションであ れば、Web サーバにアプリケーション を用意すれば、ブラウザでURL を指定 するだけで利用できる。上記のような配 布や運用に苦慮する必要もない。 ●セキュリティ  3 つ目の理由はセキュリティである。  スマートデバイスは手軽に携帯して利 用できる半面、紛失などの可能性を十分 に考慮する必要がある。特に、スマート デバイス上にインストールして動作する アプリケーションがIBM i のデータを 利用しているならば、接続手段や接続情 報を端末内に持っているということであ る。つまり、スマートデバイスを紛失し た場合や、ウイルスなどで不正アクセス されてしまった場合には、社内IBM i への接続情報や設定が漏洩する恐れが生 じる。  この点においても、Web アプリケー ションは端末上にアプリケーションの情 報を持たず、あくまでWeb サーバ上の URL にアクセスして利用するため、セ キュリティ的にも安心して利用すること が可能だ。  本稿では、こうした優れた特徴を持つ スマートデバイス向けのWeb アプリ ケーションを、Delphi/400 で開発する 方法を説明する。ただし、Delphi/400 の開発手法は1 つではなく、さまざまな 手法で開発が可能である。今回はその一 例の紹介であることをご了承いただきた い。 2.Delphi/400のWeb アプリケーション開発  Delphi/400 では、Web アプリケー ション開発のために「VCL for the Web(旧称IntraWeb)」と呼ばれる機 能が用意されている。このVCL for the Web では、C/S アプリケーションと同 じ開発手法でWeb アプリケーションが 開発できる。Delphi/400 開発者によっ ては非常に便利な機能である。  最初に、Delphi/400 のWeb アプリ ケーション開発についての概略を説明 する。なお今回は、Delphi/400 VersionXE のバージョンを使用してい る。 【Web アプリケーションの開発手順】 (1)プロジェクトの作成 (2)コンポーネントの配置 (3)プログラムの作成 (4)コンパイルと実行 2-1. プロジェクトの作成  新規にWeb アプリケーションのプロ ジェクトを作成するには、[ファイル] のメニューから[新規作成|その他]を 選ぶと、ダイアログが表示される。 [Delphi/400 プロジェクト| VCL for the Web] よりVCL for the Web Application Wizard を起動する。【図2】  Wizard のダイアログが表示されるの で、ここではISAPIExtension を選択 して進める。【図3】  これで、Web 用の新規プロジェクト が作成できた。【図4】 2-2. コンポーネントの配置  Delphi/400 では、Web アプリケー ション用に、C/S アプリケーションと 類似のコンポーネントが用意されている ので、同じ感覚でプログラムを作成する ことができる。  例えば、TIWButton、TIWRadioGroup、 TIWDBGrid で画面設計をして、簡単な 照会画面を作成してみる。【図5】 2-3. プログラムの作成  IBM i のデータは、C/S アプリケー ションと同じコンポーネントで扱うこと ができる。また今回は、dbExpress 接 続を使用する。データの表示は TClientDataSet コンポーネントを使い、 次のように構成する。【図6】 TSQLConnection →TSQLQuery →TDataSetProvider →TClientDataSet →TDataSource →TIWDBGrid(画面表示)  イベントプログラムはボタンを押下時 (OnClick) に、TIWRadioGroup の指 定に従って、TClientDataSet をOpen するロジックとする。【ソース1】 2-4. コンパイルと実行  プログラムのコンパイルを行うと、 dll のアプリケーションが作成される。 Windows サーバ上で稼働させたIIS (Internet Information Service) に作 成したdll を配置して、Web ブラウザ から実行してみよう。  PC のWeb ブラウザはもちろん、ス マートフォンなどのWeb ブラウザから もアプリケーションを実行して、IBM i のデータを活用することができるのであ る。今回はスマートデバイスに画面サイ ズをあわせているため、PC ブラウザで は若干画面サイズを小さくしている。 【図7】  ここまで、Web アプリケーションの 開発手順の概略を説明した。  なお、開発の詳しい手順については、 『ミガロ. テクニカルレポートNo.2 2009 年秋』掲載のレポート「Delphi/400 を 利用したはじめてのWeb 開発」で分か りやすく解説しているので、参考にして いただきたい。 3. jQueryMobileを 利用したスマート デバイス開発  さて、前章でDelphi/400 でのWeb ア プリケーション開発手順を紹介したが、 スマートデバイスで使うにしては、画面 デザインが少々物足りないと感じる方も いるだろう。Web アプリケーションの見 た目をよくするためには、画面用にデザ イン画像を用意したり、JavaScript や meta タグ等を組み込んだりすることで工 夫できる。  今回は、Web アプリケーションをス マートデバイスで見栄えよく完成させる ために、「jQueryMobile」というオープ ンソースを活用する手法を紹介する。 3-1. jQueryMobileとは?  まず、jQueryMobile について、説明し たい。【図8】