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migaro_tech2013   32 / 100

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30 1. 発注システム開発の 経緯  当社は、全国に約400 店舗を有する 婦人服の小売業を営んでいる。商品部が メーカーから商品を買い付け、商品の上 代や下代を決定のうえ、買い付けた商品 を各店舗に配分・供給する。この業務を サポートするシステムが「発注システム」 である。  発注システムは、AS/400 のデータ ベースを使い、画面はVB で作られた画 期的なシステムとして12、3 年前にス タートした。しかし、Windows95 時代 にVB で作成したシステムがベースのた め、端末がWindows7 になった場合、 起動できるかどうかの不安があった(実 際、Windows7 のパソコンにインストー ルして確認したが、起動できなかった)。  VB のシステムをWindows7 に対応 させるバージョンアップも検討したが、 作成した開発会社に問い合わせたとこ ろ、システムの検証だけでも1 千万円の 費用がかかり、さらに、プログラム作成 費用がそれに上乗せされるとの回答で あった。  というわけで、Windows XP のパソ コンがなくなるまでにはまだ時間的な猶 予もあるので、VB システムをDelphi/ 400 に移植し、リニューアルする方法に 挑戦することにした。 2.新システムへの要望  発注システムの改修作業にとりかかる と、直ぐに商品部より新しい要望があっ た。それは、「検討中の発注」と「確定 した発注」を明確に分けてほしいという ものであった。  従来のシステムでは確定した発注しか 入力していなかったが、実際にはメー カーまたは卸問屋に買い付けしたものの 中で、発注システムに未登録のものが存 在した。このため、突然確定した発注が 出てきて、予算オーバーを招くことがし ばしば発生した。この防止策として、買 い付けに行ったときの発注内容を「検討 中」と「確定」に分けて登録・表示する ことにより、それが現在どのような位置 付けになっているかを把握できることが 必要となっていた。  また、バイヤー(買付担当者)とアシ スタントとの緊密な情報交換をとるため の手段が発注システムにはなかった。そ のため、買い付けの状況を記載したエク セルシートのシステムへの取り込みも求 められた。  今回の開発は、単にVB からDelphi/ 400 への移植ではなく、商品投入から店 舗展開までの一連の進捗を管理できるシ ステムとすることを目指した。  入力画面で仕入、売上、在庫の各状況 を把握できるようにし、仕入予算に対し て現在の受け払い状況と発注状況を合算 したものを表示可能にした。 3. 発注システム開発の 課題と解決サポート  「VB からの移植」と題したが、実際 の開発はまったく新しいシステムを構築 していくようなものであった。 Migaro.Technical Award 2013 シルバー賞 部門 1 発注システムをVBからDelphiへ移植しリニューアル ―商品投入から店舗展開までの“見える”進捗管理システムを実現 川島 寛 様 株式会社タツミヤ 管理部 情報システム課 株式会社タツミヤ http://tatsumiya1969.co.jp/ 婦人服専門店として、北は北海道か ら南は沖縄まで、全国に約400 店 舗を展開。独自の情報システムの構 築により、全店舗へのすばやいトレ ンド商品の供給を実現し、豊かな ファッション文化を提案している。