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2008_migaro_techreport_001   40 / 136

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38 では不可能であった。外部に製作依頼見 積もしたが、当社の仕様が複雑でコスト に見合った実用可能なアプリケーション に到達せず、かつ今後の開発を考えると システム部門に多少負荷はかかるが、や はり自社開発が好ましいと考えた。  Delphi/400 の導入成功の可否は、こ のアプリケーションの運用が可能になる か否かと言っても過言ではなかった。  具体的には、当社営業課員が各々手作 りしていた得意先向の提案書を、品番の 入力のみで90%くらい作成し、残りは お客様にあわせて編集し、完成させるア プリケーションである。【図2】【図3】【図 4】  初期に完成したアプリケーションは、 営業部門の実用性には程遠いプログラム であったが、Delphi/400 をマスターす るという観点からはシステム部門として は得るものが多々あった。営業部門と度 重なるミーティングを行い、実用に堪え うる、かつ画期的な処理も織り込んでア プリケーションを完成させた。 開発経緯 @ Delphi 初期入力画面で、複数品番の 入力 A IBM i から基幹情報を、ファイルサー バーから画像を、Delphi/400 画面に 出力 B Delphi/400 からExcel に、複数品番 の情報(画像含む)の書き出し C Excel 上で、品番情報の編集/ 保存 D 保存したExcel データは再度Delphi/ 400 に読み込み、編集可能  Delphi/400 での入力画面は、最終成 果物である商品提案書のイメージに近い 状態で構成する必要があった。  そのため、グリッドコンポーネントを 使用せず、フォームに複数品番の複数項 目を配置する形式をとった。ワークファ イルによるデータの入出力ができないの で、パラメータによるIBM i のデータ の入出力を行った。しかし、1 回のRPG のCALL によるパラメータには数の制 限があったため、複数回のコールで対応 した。 2. 売上予算実績照会  売上の予算/ 実績を、営業所別→担当 者別→得意先別→商品別の構成にする。  大分類の営業所別から商品別にドリル ダウンしながら、照会を可能にする。 開発経緯  1 つのフォームに4 つの分類のパネル を配置し、パネルにグリッド表示と チャート表示を同期させる形式をとっ た。チャートに数値を表示するためにバ ルーンをつけたが、項目に複数の数値表 示が必要なため、グリッド表示も並行表 示した。  問題は、各パネルに配置したグリッド とチャートのスライダーBOX による同 期が必要なことであった。【図5】 3. 商品情報照会  商品コードの一覧から任意に商品を選 択することにより、その商品の品番マス ター情報、画像、倉庫別の在庫情報、発 注残(国内、海外)、受注残、その商品 の地域別の予算・実績情報、また倉庫コー ドを選ぶことによって、その倉庫の受払 情報(時系列入出荷情報)などが一元表 示される。【図6】 開発経緯  開発で一番注意したことは、オペレー ターが選択した品番のさまざまな情報に ついて瞬時に運用判断ができるように情 報の選択、配置、応答性を重視した。  グリーン画面では、品番に情報を一元 的に把握するには、多岐にわたってメ ニューの切り替えが必要であった。一方 Delphi/400 では、1 つのフォームに複 数のパネルを配置し、その上にグリッド を設定した。しかし、多くのパネルを配 置する場合、PC の画面解像度によって、 PC 画面にパネルが入りきれないケース がある。フォーム設計では、低い解像度 にあわせるよう画面設計をした。 今回の開発で得た ノウハウ・教訓・ 今後の予定/ 計画  RPG 技術者によるオープンシステム の開発は、ビジネスロジックをできる限 りRPG で開発し、IBM i との通信およ び画面設計はDelphi/400 のコンポーネ ントをフル活用することであった。  イベントで発生するプロシージャの中 身も、インターネット上のサンプルを多 いに利用した(単にコピペをするのでは なく、意味合いを理解する必要あり)。 Excel を利用するアプリケーションで は、Excel のVBA の文法が大いに役立っ た。  今後の予定は、現行のグリーン画面を 単にオープン系画面に切り替えるのでは なく、業務に必要な情報処理環境に最適 化したインターフェースを構築する。  具体的には、今回の品目情報照会のよ うな、得意先コードを入力することによ り得意先に関するさまざまな情報を一元 的に表示し、即座に業務判断を可能にす るといったアプリケーションを構築す る。また、昨今増えているWeb サービ スをアプリケーションに組み込み、従来 の処理とまったく違った処理環境を構築 する。  最終的には、単独のアプリケーション 開発から、サブシステム単位での照会系 やエントリー系を組み合わせたDelphi システムを構築する。また、Web 化も 検討する。 エンドユーザーの 評価・評判・反応 1. 商品提案書の作成  当社営業部門では、新製品等のお客様 への提案書を敏速に作成する必要があっ た。現状は、商品提案に個々の営業マン で微妙な違いがあったり、画像データの 保存場所が統一化されていなかったため に、商品提案書の作成に多大な工数が必 要であった。  今回のシステム化により、商品のセー ルスポイントや画像データが一元管理さ れ、統一フォーマットによる商品提案書 の作成が自動化された。その結果、営業 本来の業務に集中できるようになった。 2. 売上予算実績照会  売上等の管理者が、予算に対して大分 類である営業所単位から最小単位である 商品ごとの予算/ 実績の照会をドリルダ ウン形式で行え、一元表示が可能になっ た。  これより、的確に問題分析が可能にな り、詳細に予算等の修正も敏速に行える ようになった。