【DO!BOOK・ページリンク】
2008_migaro_techreport_001   55 / 136

BOOKをみる

10秒後にBOOKのページに移動します


53 の評判もよく、またAS/400 との相性も よいことがわかっていたため、今回は FAINS をDelphi/400 で全面再構築す ることにした。 アプリケーション開発の 工夫と苦労  FAINS を構築するにあたり、次のよ うな点を考慮した。 1. サブシステム間の連携  今回のプロジェクトでは、3 つのサブ システムを連携させている。  営業支援システムは、PC Server を ベースとするWeb アプリーションのた め、AS/400 とのデータ連携が必要に なった。これに関しては、バッチ処理に よるFTP 転送を行うことで解決した。 トランザクション系データは1 時間ごと に、マスター系データは夜間バッチでそ れぞれ転送している。  また、転送の際にはスムーズな連携を 実現するために、やり取りするデータ量 を最小限にする必要があった。これに関 しては、転送対象の各ファイル上にデー タ転送専用の更新情報を持つことで、必 要最小限のデータのみが転送されるよう 工夫を行った。  これらにより、コンサルタントが営業 支援システムで登録した情報は、販売管 理システムであるFAINS にスムーズに データが流れるようになった。 2. 住所情報の取り扱い  旧システムで管理が困難になっていた 顧客データについては、メンテナンスを 容易にするため、新FAINS では住所マ スターを持つこととした。  顧客マスター上は全国の住所を10 桁 のアドレスコードのみで保管するように して、住所マスターを定期的に更新する ことで、最新の情報がいつでも参照でき るようにした。 3. ログオン情報の使用  FAINS を使用するユーザーを限定す る仕組みを検討するにあたっては、すで に導入していたWindows 上のActive Directory を使用することを検討した。  これは、ADSI という仕組みを利用す ることで、FAINS のログオン画面で入 力されたユーザーとパスワードの情報 で、Active Directory に問い合わせを 行い、認証を行うということを可能にし た。  プロジェクト運営で苦労したのは、や はり複数のサブシステムを並行して開発 を進めるという点であった。  営業支援システムについては当初、 Lotus Notes 上で稼働するツールを前提 に設計したが、要求仕様を十分に満たせ ず、急きょ手組みによるWeb 開発に変 更したりもした。  そんな中、各開発パートナーの協力の もと、仕様変更に柔軟に対応しつつ、プ ロジェクトを推進した。その結果、当初 の計画どおり約1 年の開発期間を経て、 2005年1月に無事システムをカットオー バーすることができた。 稼働後の効果  これまでは、営業事務が、業務完了処 理や出張精算などの処理を行っていた。 新システムでは、コンサルタントが直接 システムに登録できるようになった。こ れにより、事務処理にかかわる人件費を 大幅に圧縮できたことはとても大きな効 果であった。  また、システムの連携もスムーズに行 われるようになったため、コンサルタン トが登録した情報は、即座に販売管理シ ステムのFAINS にも反映できるように なった。これにより、請求書発行処理の 早期化も実現できた。  さらに、見込み客情報も含めた顧客情 報がシステムに登録されるようになり、 住所情報の精度も向上したため、正確な 顧客情報の一元管理が可能になった。ま た、顧客へ送付するダイレクトメールの 返送率が下がったことも、大きな効果で はなかったかと思う。 現在の状況と今後の計画  システムの本格稼働から3 年が経過 し、現在は、保守フェーズとして日々発 生する要望に関する対応を行っている。  プログラムの改修作業は、主に開発 パートナーに委託しているが、社内に VPN 環境を構築することで、開発パー トナーの即時対応が可能な環境が用意で きた。昨今は内部統制に対応するための ルール化を行いながら、システムの安定 稼働に努めている。  新システムが稼働して来年で丸5 年と なるため、いよいよ次期システムの検討 を開始しようとしている。手薄となって いる人事系システムとの連携やCRM の 追加などを考慮しながら、現在のシステ ムが分散型になっている点を集約する方 向で検討したいと考えている。  FAINS システムでの成功を、次期シ ステムでも活かしていく予定である。 M