38 業務課題 　物流管理会社である当社は、各運送会 社との契約情報に基づき、運送運賃を計 算している。 　しかし、契約情報をIBM i に登録す る際、入力担当者が登録を誤ることによ り、運送運賃を誤算出するなどの問題が あった。 　そこで、契約情報の登録を入力担当者 まかせにせず、入力内容の確認や承認申 請に関して、その承認行為の進捗管理や 承認依頼の到着を知らせる業務通知機能 の実現が必要となった。これは、内部統 制上も求められていた。 技術課題 　IBM i で稼働するワークフローが検 討された。ソフトの導入も検討したが、 他のワークフローソフトへの移行が必要 となった際の情報の継承性が懸念され る。そのため、IBM i のワークフロー システムを自社で構築することを検討し た。 　しかし、CL 言語やRPG 言語だけで は開発が難しい。業務通知機能について も、メッセージ通知のみでは承認依頼が 来たことがわからない可能性もあり、実 現が困難だった。 　また、承認者にあたる人が、必ずしも エミュレーター画面に馴染みがあるとは 限らないので、ビジュアルインター フェースも要求された。 技術課題の解決策 　当社では、IBM i に蓄積された物流 データの「見える化」を実現させるため に、すでにDelphi/400 を導入していた。 そこで、Delphi/400 を用いた簡易ワー クフローソフト構築の検討を進めた。 　具体的には、フローの順序や誰に申請 をするか等を制御するためのテーブルを 構築し、Delphi/400 での簡易ワークフ ローの実現に成功した。 　メール通知機能に関しても、コーディ ングが容易であったため、業務通知機能 としてメール送信機能を搭載した。メー ル本文にリンク先として、実行ファイル を記述することにより、次のステップへ さらに効率よく業務が進む仕様とした。 【ソース1】 業務課題の解決と効果 　申請行為や承認行為に関して、簡易 ワークフローの構築を実現した。 　その結果、入力担当者まかせになって いた運送運賃の契約情報登録に関して、 内部統制をとれるようになった。 　また、業務通知のためのメール送信機 能を実現したことにより、承認作業に遅 れが出ることもなく、進捗管理もできる ことから遅延のない業務が実現できた。 　さらに、メニュー構成や登録画面が Windows ライクな画面となることで、 エミュレーター画面に不慣れな人でも、 操作説明がなくとも使用することが可能 となった。【図1】【図2】 M Migaro.Technical Award 2013 優秀賞 部門 2 Delphi/400を利用した 承認フロー導入によるIT内部統制構築 塚本 圭一 様 ライオン流通サービス株式会社 企画部 企画チーム ライオン流通サービス株式会社 http://www.lion-logi-s.co.jp/ 1963 年、ライオン株式会社100％ 出資の物流子会社として設立。ライ オングループにおいて、グループ製 品の物流全般を担っており、効率化 および物流品質の向上を目的に掲げ 合理化を推進している。