56 なってくる。 　Delphi/400 では、64bit アプリケー ションが開発できるだけでなく、32bit アプリケーション、64bit アプリケーショ ンを同じプログラムソースで管理するこ とができる。そのため、同じアプリケー ションを32bit 用、64bit 用に重複開発 したり、煩雑なプログラム管理も必要が ない。 　Windows の32bit/64bit 環境の移行 段階にある今、Delphi/400 のスマート な開発手法は、開発者がこうした環境に 対応するための最適解の1 つと言えるだ ろう。 　本稿では、64bit 環境・アプリケーショ ン、そしてDelphi/400 での開発手法に ついて説明してきたが、皆様の今後のシ ステム開発や環境検討の一助になれば幸 いである。 M を64bit 化するためには、64bit でコン パイルができるプログラムが必要であ る。そして、コンパイルのためには、プ ログラムソースおよび64bit に対応した コンポーネントが必要となる。 　つまり、市販で購入したコンポーネン トやフリーのコンポーネントを利用して いる場合には、それらのコンポーネント の対応状況を確認する必要がある。 （Delphi/400 XE3 ではコンポーネント も64bit に対応している。） 　また、BDE 関連のコンポーネント （Table やQuery 等）は64bit には対応 していない。そのため、dbExpress の コンポーネントに変更する必要があるの で注意してほしい。 2-2. 64bitアプリケーション開発 環境の考慮点 　最後に、Delphi/400 の開発環境につ いて触れておきたい。Delphi/400 バー ジョンXE3 では、開発環境として32bit 端末、64bit 端末のどちらでもインストー ルすることができる。 　その開発環境の詳細を、32bit 端末、 64bit 端末ごとにまとめた。【図10】 　ここで、前述したが64bit アプリケー ションは、32bit 端末では実行すること ができないことを再度、思い出してほし い。つまり、32bit 端末で64bit アプリ ケーションを開発する場合、コンパイル までは可能であるが、アプリケーション の実行およびデバッグはできない。 　そのため、32bit 端末で64bit アプリ ケーションの開発を行う場合には、テス ト用に64bit 端末が必要となるので注意 してほしい。なお、テスト用の64bit 端 末があれば、リモートでのデバッグも可 能である。 3.まとめ 　現時点では、まだ32bit アプリケー ションでの開発・運用が一般的であるが、 今後開発されるアプリケーションは、こ れまで以上に便利になり、より多くの画 面項目で大容量のデータを処理するよう に進化していくことが予想される。そう したアプリケーションを十分なパフォー マンスで動作させるためには、64bit 環 境に対応したアプリケーションが必須に 2-1. 64bitアプリケーション開発手法 　Delphi/400 での64bit アプリケーショ ン開発では、特別なプログラミング知識 や開発方法は必要ない。Delphi/400 で 開発経験がある方であれば、従来のアプ リケーションとまったく同じ方法で開発 することができる。【図6】 　開発したプログラムをそのままコンパ イルすれば、従来通りの32bit アプリ ケーションが完成するが、64bit アプリ ケーションを開発する場合には、ここで 別のコンパイル操作を行う必要がある。 　具体的には、開発環境のプロジェクト マネージャで右クリックを行うと「プ ラットフォームの追加」が選択できるの で、「64 ビットWindows」を追加する。 そしてコンパイルを行えば、これだけで 64bit アプリケーションが完成する。 【図7】 　もちろんプロジェクトマネージャで 「32 ビットWindows」を選択して切り 替えれば、いつでも同じプログラムソー スから32bit アプリケーションを生成す ることができる。同じプログラムソース で管理できるので、非常にスマートな開 発と言える。【図8】 　Delphi/400 で開発した64bit アプリ ケーションは実行しても、画面の見た目 で64bit/32bit を判別することは難しい。 　確認したい場合には、タスクマネー ジャーでアプリケーションのプロセスを 参照すれば、64bit アプリケーションで あることを判別することができる。 【図9】 　同じプログラムソースからコンパイル したアプリケーションでも、「32 ビット Windows」でコンパイルしたEXE は 「（32 ビット）」と表示される。これは、 WOW64 で互換動作していることを示 している。一方、「64 ビットWindows」 でコンパイルしたEXE は「（32 ビット）」 の部分が表示されないので、64bit ネイ ティブで動作していることがわかる。 　以上が、Delphi/400 での64bit アプ リケーションの開発手法である。 　もちろん64bit 開発上での注意点がな いわけではない。 　Delphi/400 では64bit コンパイル機 能によって、アプリケーションを生成し ているので、例えば、既存のプログラム