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migaro_tech2013   6 / 100

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4 Delphi/400導入の経緯  ユサコは、海外の医学系学術誌やデー タベースの輸入販売などを行っている会 社であり、ユーザー企業の立場で、 System/38 の時代からIBM のメインフ レームを使い続けている。  当時から基幹システムとして販売管理 システムを自社開発しており、現行の基 幹システムも開発開始から16 年、運用 開始から14 年の間機能拡張を行いなが ら使い続けてきた。  とはいえ、現場で扱わなければならな い情報量が格段に増え、エミュレーター 画面の表示能力にも限界を強く感じ、イ ンターフェースを再構築するためのツー ルを探していた。  他にもCASE ツール等も検討してい たが、開発やユーザー操作の自由度が低 く、Delphi/400 であればどんな要望に もフレキシブルに応えられると考えた。 なぜフレームワークが 必要か  Delphi/400 での開発は自由度が高く、 CASE ツールのように煩雑な事前作業 は必要ないが、その反面、開発者ごとに データベースやコーディング上の命名基 準、画面構成や配色、エラー処理といっ たものがバラバラになってしまう恐れが ある。  この問題を回避するには、モデリング やコーディング規則だけでなく、ユー ザーに同じ見た目で、同じ操作基準を 持った、一貫性のあるシステムを提供す る「開発フレームワーク」が必要である。 しかし、製品化されているものがなく、 内製するに至った。  加えて、フレームワークを使用するこ とにより仕様変更に強く、開発やテスト 工数を削減し、バグも減らせるという利 点も重要であった。 フレームワーク概要  フレームワークは現行システムに不足 している管理用テーブルや、標準コン ポーネントを拡張したオリジナルコン ポーネント、キャッシュ用エンティティ クラス等の共通クラス、入力値チェック や値選択機能、アプリケーション自動配 布の仕組みで構成している。  開発に当たっては、コーディング量を 減らし、開発効率と保守性を高めるため、 オブジェクト指向でいうカプセル化(※) やロジックの汎用化(汎化)を意識した。 【図1】  また、オブジェクト指向言語でクライ アント/ サーバー系システムの開発をフ レームワーク部分から行うのは初めてで あったため、開発支援を受け試行錯誤し ながらの構築であった。 ※カプセル化とは  オブジェクト内のデータを直接操作で きないように、その構造を外部から隠蔽 すること。オブジェクト内の仕様変更が Migaro.Technical Award 2013 最優秀賞 部門 1 自社用開発フレームワークの構築 ―なぜフレームワークが必要か 高効率な内製実現のために 駒田 純也 様 ユサコ株式会社 システムグループ マネージャー ユサコ株式会社 http://www.usaco.co.jp/top.html 海外の学術雑誌、書籍の輸入販売を 中心に事業を展開している。特に医 学、薬学等の自然科学分野に強みを 持つ。近年、学術情報媒体の多様化 に伴い、電子ブック、データベース、 各種ソフトウェアの取り扱いを強 化。学術情報を通じ、知的情報の創 造、蓄積、共有による社会貢献を目 指している。